ちょこちょこ更新してます会長の釣り講座。
会長の釣りに対する概念から始まり、マキエサ、同調、エサ盗り、そして只今ウキについて。
もちろんチヌ釣り、グレ釣りについても書いていますが、会長はあくまで基本の部分だけ。
魚の習性、道具の知識、環境の変化、そういった所をしっかりと理解していればあとは自分自身で実践するのみ。これが会長の講座になります。
でも基本って本当に大事です。改めて「そんなことは考えなかったなぁ」と言う部分がたくさんあります。
さぁ、それではエムアンドエムにとっても特に知って頂きたいウキについての基本編。
前回のブログは水中ウキについて!会長らしいストレートな理論!
さあ、本日は松田ウキの謎を詳しく教えてもらいましょう。
「外見だけ真似ても松田ウキにはならない」
〇丸ウキの長所を持つ形状
ウキというのはこういうものだというガイドラインを築き上げてからの松田ウキは一貫して同じ形状を辿っている。肩を張った円錐状で、トップとボディの境界がはっきりしている。
他によく見られる、なで肩のどんぐりタイプではない。
理由は、なで肩にするとブレやすいからだ。
この、「ウキがブレること」を、松田は非常に嫌う。
ウキがブレたり、波のために上下すると、そのたびに仕掛けが張ったり緩んだりする。
それではオキアミがスムーズに仕掛けを引っ張れない。
健気にも、オキアミ1匹が仕掛け全体を引っ張っていることを思い出してほしい。
まったくブレないようにするには、丸ウキ(玉ウキ)を使えばいい。
円錐ウキが傾くと完全にバランスが崩れるが、丸ウキなら倒れても回転しても形は変わらないから、バランスが変わらない。常に、浮力が全体にかかっている状態を保つ。
だから、風が強くても潮に乗りやすい。
したがって、適正な負荷をかけている限り、浮き過ぎず、沈み過ぎずの状態で流れる。
刺し餌がどの方向に流れようとしているかが非常に読みやすい。
ところが、丸ウキには傾きが読みにくいという欠点がある。
その点、円錐は傾きやすく、見て分かりやすい。
遠くへ流れた時はヘッドの色が見える度合いで判断する。
それができれば、同時に底潮(サシエがある方の流れ)の変化も分かる。
もちろん丸ウキ並みのバランスがとれていた上での話だ。
〇自重が必要=材質と内蔵ナマリ
ウキは、いくらビシで浮力を殺しても、バランスは良くならない。
なぜなら、ウキとビシとの間に距離がある限り、ウキが振り子運動をしてしまうからだ。
ウキ自体の重さがないから、船に例えるならFRPのボートと同じ状態になる。つまり、風があるとフラつく。したがって、ウキは自分自身の重量、自重が必要になる。
その為には、ウキの内部に鉛を埋め込む。すると、少々の風や波でもふら付かず、安定の良い木船と同じ状態になる。
が、これとて、単に鉛を埋め込めばいいわけではない。やはり、バランスがある。
それも水平方向と垂直方向の・・。
水平方向のバランスが悪いと、ウキは傾く。すると、仕掛けの角度が読めない。またバランスがとれてないから余分な抵抗がかかり、重くなる。すると、刺し餌が引っ張れない。
波も流れもなければ問題ないかもしれないが、海にそんなことはあり得ない。
一方、垂直方向のバランスが悪いと、今度はウキがフラついてしまう。
自重の問題は、ウキの材質にも絡んでくる。
松田ウキは現在すべて国産の桐材を使っているが、これまでずいぶん多種類の材質を試している。国産の桐材は高価で少なく、入手が難しくて、一時は台湾桐も使ってみたものの、浮力の面で物足りなかった。そこで、もっと軽いものをと、バルサでウキを作ってみると自重が無さ過ぎてやはりブレる。そうなると、なじみにくくなり、やはり刺し餌が引っ張る事を妨害してしまう。
〇ウキが波に乗ってはいけない
以前にも軽くお伝えしたが、刺し餌がウキを引っ張るのを妨害する要素の一つに、ウキの波乗りがある。仕掛けを張っていれば、ウキが浮上するのにつれて刺し餌は引っ張り上げられる。続いてウキが波の谷間に達すると、今度は仕掛けが緩む。刺し餌が沈みきるまでは緩んでいるからその間の刺し餌の動きはウキには伝えられない。
刺し餌であるオキアミが撒き餌とは明らかに異なる動きをすれば、それに喜んで飛びつくのはエサ盗りのみ。そこまで言っていいと思う。
〇表面を塗り固めてはいけない
岩にぶつけられるのは日常茶飯事だし、海水に濡れたまま放置されるのは当たり前。直射日光にもさらされる。ウキの表面は、だから非常に傷つきやすい。
しかし、それで塗料が剥げ落ちると、このウキは塗装が悪いと評価される。
ウキメーカーとしては、そんな悪評が怖いから、表面が傷つきにくいようにと、塗料で厚く硬く塗り固める。すると、表面的には発泡と同じ状態だからなじみが悪くなる。
理想の道糸とは、ティッシュペーパーが海面に漂っているのと同じ状態である。
ウキもこれと同じようになって欲しいのだ。
松田が夢中になって釣りをやっていた時期には、ウキのボディに塗料を塗らなかったこともある。塗料があると水を弾くからで、これを剥いでしまうと表面が水を少し吸う。
すると、なじみがよくなる。しかしさすがにそのままだと水を吸い過ぎて、
表面がボコボコになってしまう。
松田ウキを使用している人はそれを知ってる人が多い。
長年使い込んでいるうちに少しずつ傷が入り、そこから水を吸い込み、ほどよくなじむようになる。よほど、傷がひどくなると塗り直しはするものの、内部に塗料が染み込むほどは塗り込まない。
既に松田の理想とするティッシュペーパーのような道糸は新たな製法によって
サンライン製品として登場している。
またウキも同様だ。最終工程にあえて、塗料を剥いでしまう製法「サンドフィニッシュ製法」
を取り入れ、使い始めからなじみの良さを実現したウキが登場している。
それが「松山」の進化版「松山ネクスト」なのである。
ー松田稔のグレ釣りバイブル・釣ってなんぼや! 1997年出版より一部引用ー
コメントをお書きください
rei (木曜日, 12 3月 2020 21:40)
ウキ一つのこだわり
それに対してすべてを注ぎこまれてきたのが伝わりますね。
何事も自分にとって大事に取り組む事の大切さを学びました。
ありがとうございました。
有限会社エムアンドエム (金曜日, 13 3月 2020 10:38)
rei様
この度はコメント頂き有難うございます。
大変有難いお言葉、嬉しい限りです。
ウキ一つですが、そこから学ぶことも数知れません。
弊社は釣り人の為にこれからも良いウキを開発していきます。